Karin Hirokawa (Photographer)

Biography

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廣川かりん(1988, 神奈川)東京を拠点に活動するフォトグラファー。

元デザイナーで画業を生業とする母の影響で、幼い頃から日常のなかに彩りのあるハーモニーを見いだすことは特別なことではなかった。

 10代の頃、インスタントカメラが隆盛だった時代。その手軽さから誰もが手にしていたものであったが、今という瞬間をいとも簡単に過去にしてしまうそのコンセプトに嫌悪感を抱いていた。思えば、現像してプリントするという行程、写真を撮ることに費やした時間は現在と比べ物にならないほどだが。

以来、カメラの持つ構造的面白さ、撮影という化学、そして多くの批評家や哲学者を魅了する写真を撮る行為のあらゆる解釈に興味を惹かれることになった。

こうして得た“第三の眼”は光と影によって描かれる世界の今を見つめるツールである。レンズを通して見えてきたものは、自らが生まれ育った日本と言う国の文化の特異性、とりわけ日本人の持つ空間の感覚は世界のなかでも不思議な特徴をもっているような気がしている。

そんなことをふむふむと考えながらシャッターを切っている。

 

 

 展示のテーマは“空間”。雨風をしのぐためにつくった空間から始まり、人類は先史以来さまざまな建物を築いてきた。

大陸、半島、島。場所によって空間の感じ方、尺度が変わるように空間が建築をつくり、またその建築によって空間がつくられた。

それぞれの土地に固有の様式を突き詰めた時代が終わり、世界標準のデザインが確立されたことによって、人の移動はよりスムーズになった。しかし、利便性と効率を優先させた結果、特徴のない均一的な世界の都市景観を推し進めてしまったことも事実である。

 めったにないのだがときどき、偶然にもはっとするような面白い建築に出会うことがある。歴史的な荘厳さをもって堂々と鎮座しているわけでもなく、スタイリッシュでクールなモダンデザインでもないのだが、やすやすと世界に同化することを抗っているような、尖った意志の強さが垣間見えて、そんな我が道を行く建築に出会ったりすると嬉しくなったりする。

 私はなるべくどこにいてもよそ者の視点を持つように生活している。

生まれ育った母国に居ても、知り尽くしているような東京に居ても、できる限り観光客。いつも新しい発見を求めていることもあるのだが、迎合しない姿勢をとることで、その土地の持つキャラクターが見えてくる。私自身もまたできるだけ尖っていることを望んでいるのかもしれない。

そんな風にして、世界津々浦々居心地の良い空間を探し歩いているようだ。