AYA SHIMOHARA (illustrator)

Biography

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下原亜矢は、幼少期より絵を毎日のように描いて過ごし、空想の世界や自身の理想を描くことによって、非現実的な感覚を得られることに喜びを感じていた。この感覚は後の作品制作にも大きく影響していく。絵を描く事が“当たり前のこと”として育った彼女は、京都嵯峨芸術大学デザイン科へと進学し、ビジュアルデザインを専攻する。しかし、万人に伝わるものが求められ、作品ではなく商品として成り立つものが求められる、“大衆性”や“商業性”を含むデザインの分野に限界を感じた彼女は、自主制作として、よりオリジナリティを表現できる“アート”としての作品づくりに没頭する。アクリル、パステル、水彩、岩絵の具、鉛筆、CG 処理、様々なメディアを試しては自分のスタイルを探求し、現在の、鉛筆、パステル、水彩の順に少しずつメディアを重ねていき、深みを出す作法に至る。また、在学当時、彼女は古い日本の純文学を好んでよく読んだ。夏目漱石の「草枕」の一説より、彼女は自身のアートへの答えを見いだした。“越すことのならぬ世が住みにくければ、住みにくき所をどれほどか寛容て、つかの間の命を、つかの間でも住み良くせねばならぬ。ここに詩人という天職ができて、画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするがゆえに尊い”決して楽しいことだけの現実ではなく、つらいこと、つまらないことがある現実を、ほんのひと時でも、作られた虚構の世界だとしても、忘れさせてくれるものや、楽しませてくれるものがアートだと彼女は考える。彼女が幼少期から好んできた音楽や演劇、影響を与えたアーティストが、彼女を“非現実”へ誘ってくれたように、彼女自身も、自身の作品で、見る人をひと時でも“非現実”へ誘うような作品を描きたい、と考えている。その中でも特に、彼女の作品はクリムトの影響を大きく受けている。彼女は、クリムトの描く女性の恍惚とした表情や、美しい装飾の模様や色使い、金箔のキラキラとした輝きに陶酔し、高揚感に誘われるような感覚を覚え、非常に好んだ。彼女が描く女性もどこか虚ろな表情で、トリップ感のある作風が特徴だ。彼女の絵の特徴はそれだけではない。彼女の描く女は、“繊細さ”“美しさ”“華やかさ”、といった女性性を感じる要素を持ちながら、全く逆の“力強さ”“意志の強さ”といった男性性を感じる要素と“ダークさ”を含み、二面性を持つ作品となっている。美しいだけではない、表面的には見えてこない女性の強さと、虚構の世界の背後には必ず現実がすぐそこにあり、つかの間の夢であることへの切なさやむなしさがダークなエッセンスとなり、隠されている。